雑記コーナー

疲れという名の結晶が、

夜の中で、ひとつ、輝いていた。

誰に知られることがなくても、聴こえてくる遠い国の歌のように、

寒空の彼方を、どこまでも遠く、どこまでも儚く、

ただ、そうして、物音もしない空気の中で、静かにこだまして、

どこまでも繊細に、どこまでも耳に深く残り続ける疲れという名の結晶が、

毎日の暮らしの中で、命をあふれんばかりにばらまいて、

この夜と共に光り輝き、そして、朝と共に消えていく。

ああ、

それでも、ときおり眠れない夜の足元には、

疲れがひんやりと落ちているときがある。

思わずわたしはそれを手で触れて、思わずわたしは目をつぶる。

どこまでも冷たく、なによりも鋭く疲れはわたしを貫いた。

わたしの中で生まれて、わたしの中で冷たく尖った疲れという名の結晶は、

それでも、朝には消えてしまう。

わたしはそれを手のひらから、そっと、朝日に落とした。

まるで、それは、わたしみたいに、

少しだけ泣いて、少しだけ笑って、

あてどもない光の中へ溶けて、

そして、また今夜、歌い出す。

トップページに戻る

〜小説初心者〜



Copyright (C) 2014 aoinatuha. All Rights Reserved.